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日別アーカイブ: 2026年7月24日

岩本工業のよもやま話~安全を高める~

皆さんこんにちは

株式会社岩本工業の更新担当の中西です。

 

~安全を高める~

 

トンネル工事は、狭く長い地下空間の中で、大型重機、ダンプトラック、発破、コンクリート施工などを行う仕事です。

坑内では自然光が入らず、作業の進行とともに坑口から切羽までの距離が長くなります。

地山の崩落、重機との接触、火災、浸水、換気不良など、地上の工事とは異なる危険を管理しなければなりません⚠️

そのため、トンネル工事業では、作業員一人ひとりの注意だけに頼らず、設備、ルール、計測、通信などを組み合わせた安全管理が重要です。

近年では、三次元測量、重機の遠隔操作、AIによる地山評価、作業員位置管理など、デジタル技術の活用も進んでいます。

国土交通省は、山岳トンネルの発破作業について、切羽からの肌落ち災害や人手不足への対応として、自動化・遠隔化技術の開発と普及を進めています。

今回は、トンネル工事の安全性と生産性を高める、計測管理・DX・自動化の技術についてご紹介します。

切羽からの肌落ちを防ぐ

山岳トンネルでは、切羽や天井部分から岩や土砂が落下する「肌落ち」が大きな危険です。

切羽を目視し、亀裂、浮石、湧水などを確認します

危険な部分へ作業員が近づく前に、機械によって浮石を除去し、吹付けコンクリートなどで表面を保護します。

切羽へ近づく必要がある作業では、作業時間を短くし、監視する人を配置します。

照明が不足していれば、亀裂や浮石を見落とす可能性があります。

切羽全体を均一に照らし、影の中に危険箇所が隠れないようにします

危険を感じた場合には、工程を止めて支保や補助工法を見直します。

坑内車両との接触を防ぐ

トンネル内では、ダンプトラック、ホイールローダー、高所作業車など、多くの車両が動きます

道路幅が限られ、暗く、騒音も大きいため、運転者が作業員へ気づきにくい場合があります。

歩行者通路と車両通路を区分し、作業場所にはカラーコーン、回転灯、表示などを設けます。

必要に応じて監視員を配置します。

厚生労働省の災害事例でも、坑内の車両通行区域と作業場所を明確に区別し、照明や連絡を確保することが再発防止策として挙げられています。

車両にはバックモニターや警報装置を設置し、死角を減らします。

作業員のヘルメットや服へ反射材・ライトを付け、暗い坑内でも存在を確認しやすくする工夫も有効です

入坑者の位置を管理する

長いトンネルでは、誰がどこで作業しているかを把握することが重要です。

坑口で入退坑を記録し、坑内にいる人数を管理します

ICタグや無線設備を使い、作業員の位置を確認できるシステムもあります。

火災や浸水などが発生した場合、逃げ遅れた人がいないか、どの区間にいる可能性があるかを判断できます。

ただし、機器だけに頼るのではなく、作業班ごとの点呼や連絡も続けます。

バッテリー切れや通信障害が発生した場合でも、安全を確認できる仕組みが必要です。

換気状態を監視する

発破、重機、車両、吹付けコンクリートなどによって、坑内にはガスや粉じんが発生します。

換気設備で新鮮な空気を送り、汚れた空気を排出します️

酸素濃度や有害ガス、粉じんなどを測定し、作業可能な環境かを確認します。

換気管が破れていたり、先端が切羽から遠すぎたりすると、必要な風量を確保できない場合があります。

掘削の進行に合わせ、換気管を延長します。

換気設備が停止した場合は、原因が分からないまま作業を続けず、必要に応じて退避します。

目に見えない空気の状態を数値で確認することが重要です。

地山と支保工の変形を計測する

トンネル周囲の地山は、掘削後に少しずつ変形します。

壁面間の距離、天井部の沈下、支保工の荷重、地表面変位などを測定します

測定値は、単に記録するだけでは意味がありません。

時間とともに変形が落ち着いているのか、増加し続けているのかを確認します。

変形速度が速くなった場合は、地質が変化した、支保が不足している、切羽が近づいた影響などを考えます。

警戒値を設定し、超える前に関係者へ通知する仕組みをつくります。

計測結果を施工へ反映することが、事故と大規模な手戻りを防ぎます。

三次元測量で掘削形状を確認する

レーザースキャナーなどを使えば、掘削後のトンネル形状を三次元データとして取得できます

設計断面より掘りすぎている場所や、必要な空間が不足している場所を確認できます。

掘りすぎが多いと、吹付けコンクリートや覆工コンクリートの使用量が増えます。

不足している部分があれば、後から追加で掘削しなければなりません。

従来の測点だけでは見つけにくかった凹凸も、面的に確認できます。

データを施工機械や出来形管理へ活用することで、品質と材料使用量の改善につながります。

ドリルジャンボの自動化

発破掘削では、多数の装薬孔を設計された位置へ開けます。

削孔位置や角度の精度が悪いと、掘削形状が乱れたり、余分な岩盤を傷めたりします。

機械へ発破パターンのデータを入力し、削孔位置をガイドまたは自動制御する技術があります

削孔の深さや時間を記録すれば、岩盤の硬さの変化を推定する情報にもなります。

自動化によって作業精度を安定させ、作業員が切羽近くにいる時間を減らせる可能性があります。

ただし、機械の設定や現在位置が間違っていれば、正しい穴は開きません。

自動制御を使用する場合も、基準点や削孔結果を確認する技術者が必要です。

吹付けコンクリートの遠隔操作

吹付けコンクリート作業では、作業員が切羽や壁面へ近づく必要があり、粉じんや肌落ちの危険があります。

ノズルを機械アームで操作し、離れた場所から吹き付けることで、作業員を危険箇所から遠ざけられます

吹付け距離や角度を一定に保ちやすくなり、施工品質の安定にもつながります。

吐出量、急結剤量、施工厚さなどを記録し、品質管理へ活用する方法もあります。

しかし、複雑な凹凸や支保工裏側は、カメラ映像だけでは確認しにくい場合があります。

施工後の目視や厚さ確認と組み合わせることが重要です。

発破作業の遠隔化

装薬、結線、発破前確認などは、切羽近くで行われる作業です。

切羽から作業員を離し、安全性を高めるため、自動化・遠隔化技術の開発が進められています。

国土交通省は、山岳トンネルの発破作業について、作業人員の省力化、切羽からの離隔距離、作業時間などの観点から技術を整理しています。

遠隔化によって、人が危険な場所へ入る時間を減らせることは大きなメリットです。

一方で、切羽状態の判断、火薬の管理、通信異常時の対応など、新しい安全管理も必要になります。

機械化すれば危険が完全になくなるのではなく、危険の種類が変わることを理解しなければなりません。

AIによる地質評価

切羽の写真や削孔データ、振動、機械負荷などを蓄積し、地質状態の判断を支援する技術があります

熟練技術者が経験から見つけていた特徴を、データとして共有しやすくなります。

切羽画像から亀裂や岩種を分類し、過去の施工事例と比較することで、支保工選定の参考にできます。

ただし、AIの判定は、入力された画像やデータの品質に左右されます。

泥や吹付け材で切羽が見えにくい場合や、過去にない地質では、正しい判断が難しい可能性があります。

AIは技術者の代わりではなく、見落としを減らし、判断材料を増やす支援技術として活用することが大切です。

デジタルデータを全員で共有する

地質、計測、出来形、重機位置、作業進捗などの情報を一つのシステムで共有すれば、現場の変化を把握しやすくなります

事務所だけでなく、切羽近くの担当者も最新の図面や指示を確認できます。

夜勤から昼勤へ交代する際も、前の班で起きた異常や地質変化を正確に伝えられます。

トンネル工事は複数の作業班が交代しながら進むため、情報の引継ぎが重要です。

ただし、データ入力に時間がかかりすぎたり、複数のシステムへ同じ内容を入力したりすると、現場の負担になります。

本当に必要な情報を選び、誰でも利用できる仕組みにすることが大切です。

非常時の通信と避難

坑内で火災、浸水、崩落などが発生した場合、作業員へすぐに知らせなければなりません

無線、電話、警報設備、表示灯などを設け、坑内のどこでも連絡できる状態をつくります。

停電時にも使用できる非常電源を用意します。

避難通路、退避場所、消火器、救護用品などを配置し、定期的に訓練します。

完成後のトンネルではなく、工事途中のトンネルは、設備や通路の状態が日々変化します。

掘削の進行に合わせて、避難設備や案内を更新する必要があります。

熟練技術を次世代へ伝える

トンネル工事には、切羽の音、岩の割れ方、湧水の変化、重機の負荷などから異常を感じ取る熟練者がいます

こうした感覚を個人だけの経験にしていると、退職や異動によって失われてしまいます。

切羽写真、計測結果、施工判断を関連づけて記録し、「なぜ支保を変更したのか」を残します。

若手には手順だけでなく、判断の理由を説明します。

デジタル技術によって経験を記録しやすくなりましたが、現場で実物を見て学ぶことも欠かせません。

ベテランの経験と新しい技術を組み合わせることが、これからのトンネル工事を支えます。

まとめ

トンネル工事では、地山の崩落、坑内車両、換気、浸水など、地下空間特有の危険を管理する必要があります。

切羽観察、変形計測、ガス測定、入坑管理などを徹底し、小さな異常を早期に発見することが重要です。

三次元測量、自動削孔、遠隔吹付け、AI地質評価などの技術は、作業員を危険箇所から遠ざけ、品質と生産性を高める可能性を持っています。

しかし、システムの表示だけで安全を判断することはできません。

現場を観察する人、数値を分析する人、危険を感じたら作業を止める人が必要です。

地中の状態をデータで見える化し、機械と人の力を組み合わせること。それが、これからのトンネル工事業に求められる技術なのです⛰️✨